鹿児島県内でも多くの協力隊が活動されています。
日置市美山を拠点として活動され、またご自身も地域おこし協力隊OBである吉村 佑太(よしむら ゆうた)さんに、地域おこし協力隊の現状についてお話しを伺いました。
鹿児島県日置市美山は、薩摩焼の里「美山(みやま)」として、鹿児島県最大の薩摩焼の産地として、多くの窯元が町に点在しています。
島津義弘公が慶長3年に朝鮮より連れ帰った陶工が移り住み、以来400年、薩摩焼の文化が現在まで続いています。
その美山に地域おこし協力隊として赴任した、吉村さん。
吉村さんは、鹿児島県いちき串木野市出身で、東京で経験を積んだあと、2016年から3年間、地域おこし協力隊員として活動され、活動期間中に美山で起業もされました。
吉村さんが経営する、合同会社美山商店では、美山発の地域商社として、地域の人材や資源を活用し、 美山が抱える地域課題に持続可能性を求め、“経済”という回答を持って課題解決に取り組まれていらっしゃいます。
2019年には協力隊員や行政の支援組織「地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島」を結成し、協力隊の活動を支援する取り組みもスタートしています。
また、総務省の地域おこし協力隊サポートデスク専門相談員として、全国の協力隊事業へのアドバイス等もされています。
「地域おこし協力隊制度」は、総務省による過疎対策を目的とした人的支援施策であり、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移動し、生活の拠点を移した者を、地方公共団体が「地域おこし 協力隊員」として委嘱。
隊員は、一定期間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や、 農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組みです。
鹿児島県でも多くの「地域おこし協力隊制度」を活用する自治体も増えておりますが、制度の裁量性の高さから、課題も多くあるようです。
受け入れする自治体の制度設計、地域住民への配慮、活動後どのように定着してもらうか。
協力隊の人生にも大きく左右する制度ですが、マッチングがうまくいかず、トラブルになる事例もあるようです。
「地域おこし協力隊制度」を有効活用するには、協力隊に何を望むのかという受け入れ先の明確な目的意識と協力隊との事前の十分な合意形成、そしてそれを繋ぐ行政や吉村さんなどのOB、サポートデスクなどとの連携した課題の把握とフォローが重要です。
吉村さんは、「地域おこし協力隊制度は、人と人が関わる取組。協力隊について何か大きな問題がおこってから対処するのではなく、事前に予防をする。
病気で例えると、予防医学の考え方と同じです。
導入前に地域と行政が、受け入れる協力隊の人生もしっかり考える。地域に入る協力隊の事前理解も必要だが、そういった気構えが行政側にも必要。」
と、自身の協力隊としての経験や、サポーターとして全国の事例を踏まえ説明してくださいました。
鹿児島市内でも現在喜入で、続いて桜島などで、これから地域おこし協力隊の導入が進んでいくようです。
*鹿児島市 令和2年度当初予算(案) さくらじま地域おこし協力隊活動事業 (10,175千円)
地域おこし協力隊を桜島地域に配置し、地域ブラ ンドのPRなどに取り組み、地域振興を図ります。
過疎化や高齢化が進む地域に於いて、その地域の課題を解決する手段としての「地域おこし協力隊制度」は、大きな可能性を秘めています。
但し、そこには、協力隊、受け入れ地域、仲介する行政が、この制度の趣旨をよく理解し、課題の解決と定住に繋がる人作り、まちづくりを、それぞれ自分事として、進める覚悟も問われている、今回吉村さんの取り組みを見聞きし、そう感じました。
吉村さん、同行いただいた須部さんありがとうございました!
今後もふるさと創生支部長として、多くの皆様からご意見を聞き、ふるさと鹿児島の発展に繋げていきたいと思います。
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